【地域共生社会とは】社会的な背景の理解とソーシャルワーカーの視点/できること

LIFE WORK

こんにちは、Fujiyaです。
僕は「社会福祉士」「精神保健福祉士」の国家資格を取得者で、ソーシャルワーカー歴12年になります。

『ソーシャルワーカーって何?』という方がいましたら「ソーシャルワーカー歴10年以上の現役が教えます。ソーシャルワーカーとは【社会福祉士】」で解説していますので一度読んで見てください。

ソーシャルワーカーをやっていると「地域」という言葉をよく耳にします。「地域連携」「地域包括」など、「地域共生社会」というというのもその中の1つですね。社会福祉に関わる僕たちは「地域」とは切っても切れない縁ということになります。

当たり前かもしれませんが、社会=地域=人々なのかなと思います。国は多様化した社会の仕組みとして「地域共生社会」というビジョンを掲げていますが、これはソーシャルワーカーにとっても大事な視点です。

この記事の内容

  • 地域共生社会って何?
  • 地域共生社会におけるソーシャルワーカーの視点

地域共生社会って何?【社会的背景とソーシャルワーカーの視点】

2000年に介護保険制度が開始され、2005年に「地域包括ケアシステム」が提唱されました。これは主に高齢者について「医療と介護が途切れることなく提供するにとよって、病気や障害があっても地域に暮らし続けられるシステム」を構築しようということです。

現在からすると20年以上前になりますが、少しずつ日本の社会が作り上げてきました(以下画像:厚生労働省ホームページ)。

厚生労働省資料:地域包括ケアシステム

要は2025年に高齢者が増えるので、それに対する体制づくりですね。​そして、長期的な計画の中で最初は国の政策として考えられてきたことが、その後徐々に地域の自治体で実施されるようになっていきました。一方で、社会の現実として生活の多様性が言われるようになり、1人の人が抱えている問題がより複雑になっているということがあります。

問題の多様性(例)

  • 貧困
  • 身寄りがいない
  • 仕事がない
  • 病気
  • 国籍

ここに挙げているのはあくまでも一例です。人にはそれぞれ価値観や生活があり、そこにはその人なりの問題が存在しているわけです。地域包括ケアシステムの「医療と介護が途切れることのない体制」だけでは地域包括ケアシステムの目的である「障害や病気があっても地域で暮らし続けられる」ということが、難しいということになってきます。

そこで生活支援をするコーディネーターが配置されたり、高齢者の社会参加、地域での居場所づくりなどの政策が推進されたということが挙げられると思います。

地域包括ケアシステムを深めた地域共生社会のビジョン

そこで現在の考え方としては「地域共生社会」というビジョンがあります。​これは問題の多様性を社会循環的な仕組みで助け合っていくという考え方です。「地域包括ケアシステム」は、高齢者を中心とするモノだったのですが、地域共生社会は対象者を限定してません。​

しかしながら、実際は現状の多様性を支えるシステムを構築するまでは至っていないです。自分に置き換えてもそうだと思いますが、1人1人が全く違う価値観で生きていて、それを全て完璧にサポートできるシステム/社会なんて難しいと個人的には思っています。​たくさんの人が何かしらの「生きづらさ」や「苦しさ」を抱えて生きているのが現状で、これが現在の社会なのかなと思います。

ただ地域共生社会の実現に向け国も力を入れていて、具体的なところだと令和3年4月から「重層的支援体制整備事業」が開始されたりしています。しかしながら、自治体として義務化されているわけではなくて、”手挙げ方式”のため地域の実態に応じて実施する事業となっています。なので、現状では手厚く考えられている地域もあれば、全く開始をしていない地域もあるため地域格差が広がっていくと思います。

ソーシャルワーカーの視点:多様化した社会を支える、潜在的なニーズへの対応

ソーシャルワーカー「もっと〇〇なサービスがあれば、この人の生活は楽になるのになぁ」

ソーシャルワーカーは、所属組織の相談窓口的な役割として配置されることが多いと思いますが、上記した「地域共生社会」などの社会的な背景を理解した上で業務を行なっていくことは重要だと思います。

僕も相談業務を行う中で複雑な問題を抱えている相談者にはたくさん出会いました。そして、肌感覚的にも件数が増えていると感じています。ただそれに対応する地域のサービスが乏しかったりすることもしばしばあり、短期間で解決するというのは難しい、もしくは解決不可能なことは多いです。

解決困難な問題を抱えている個人や世帯などについて、表面的なニーズだけでなく、潜在的なニーズについてもはソーシャルアクションとして専門性を発揮しアプローチしていく必要があります。もちろん相談者個人へのアプローチも大切ですが、地域へのアプローチにも目を向けていかなければいけないと思っており、地域分析からソーシャルワーカーとして何ができるのかを考える必要があります。

今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。