【2024年】病院の診療報酬改定についてのアウトプット【予想】【方針】
こんにちは、Fujiyaです。
僕はMSW(医療ソーシャルワーカー)として日々患者支援をしているのですが、ベッドコントロールや病床稼働率など病院の経営に関わることも多々あります。
病院経営というと根幹となるのは「診療報酬」となります。病院はサービス業ですが、治療や手術、投薬などの医療サービスを提供するときに「診療報酬」という国や自治体が定めた基準で報酬をもらうこととなります。これは医療機関が提供する医療サービスの公正な評価と適正な報酬の支払いを保障するため、定期的に見直し、「改定」が行われています。
その診療報酬に携わるとなると、定められた基準(ルール)を勉強して頭に入れる必要があります。
前回の改定は2022年に行われました。僕はもともと診療報酬について対応する立場ではなかったのですが、色々と環境が変わり、この改定からメインで考える必要があり、勉強をし始めました。
部署の物なのですが、この1年で僕の物になってる。 pic.twitter.com/ow4Boem1Qe
— Fujiya (@fujiya_xyz) February 20, 2023
と言っても、たくさんある診療報酬の中でも、自分の病院が算定してる診療報酬に限定すればなんとかなるって感じですね。
勉強する中で思ったのですが、「現在」を知るということはもちろん、これまでの医療制作の流れ「過去」を知ることや今後の社会情勢を考えて「未来」を予測することが重要だということがわかりました。
診療報酬改定は2年に1回なので、次の改定は2024年になります。今回の記事では僕が色々と学んできたことを踏まえて予想や方針をアウトプットしてみたいと思います。
2024年の診療報酬改定はどうなるのか?
2024年の改定は「診療報酬」「介護報酬」「障害福祉サービス」も改定になるので『トリプル改定』と言われます。医療介護だけではなく、福祉サービスの改定もあるので、難病医療や精神科医療機関などに絡む障害福祉など「福祉」の領域まで含めた連携を考える必要があるということになります。
2040年に向けた医療政策
経営を考えていく上で重要なことが、これまでの流れをしっかり把握しておくことだと思っています。国の政策については、医療に限らず”とりあえず”の目標が2040年となっており、毎年6月に2040年に向けての1年間の方針を『骨太方針』で公表しています。実は、これに記載されている医療についての項目は診療報酬にも大きく影響を与えていると言われています。
なので、実際に診療報酬改定について決める中央社会保険医療協議会(中医協)は9月くらいから動き出すのですが、6月頃に出る『骨太方針』の影響を大きく受けることが予想されます。
「骨太方針」に書かれてることは”必ず”実施されるということになっており、2023年の骨太方針では「医療dxを推進」とか「リフィル処方箋を推進」なんてことがありましたが実施されました。今年はどんなことが盛り込まれるのでしょうか。
2040年に向けて大きな流れを考えてみると「働き方改革」や「ICT」といった効率を上げる内容や「地域連携」、「生活し習慣病の重症化予防」などが考えられるかなと思います。
- 「効率化」
働き方改革、限られた時間で最大の成果を出すような仕組み作り(ICT化)。コメディカルの業務範囲の拡大により人材確保が必要になる。 - 「地域医療連携」
集約化や機能ごとに役割を特化。地域医療構想、特に外来機能が焦点となる可能性が高い、地域連携の強化が求められる。 - 「生活習慣病の重症化予防」
かかりつけ機能。かかりつけ医師、かかりつけ薬局の薬剤師、患者という3者で協力体制。
やはり医療DXの推進【セキュリティ】
国は『全国医療情報プラットフォーム』を作ろうとしています。これは、患者がどこの地域にいても医療を受けれる/継続できる仕組みです。これを構築するためには、現在何かと話題になっている「マイナ保険証」が重要で、これがオンライン資格確認システムや電子処方箋、電子カルテと繋がっていきます。
電子カルテについても将来を見据えて「同規格化」が進められており、399床未満の病院や診療所に対して「HL7FHIR規格」を採用している電子カルテを導入すること、または現在「HL7FHIR規格」に準拠していない医療機関が更新する場合に負担が補助されています。ICT関連の補助については今後も注目が必要になってきます。
電子化が進むにつれて、最近はハッカーの存在が危険視されておりますが、セキュリティ教育についても現在は400床以上の病院だけが対象となっていますが、次の改定では399床未満の医療機関もセキュリティ研修の実施や専任システム管理者の配置は必要になってくる可能性があります。
電子処方箋についてですが、メリットは重複投薬のチェックです。医療機関で医師が処方する段階で患者の処方歴や検診履歴がリアルタイムでチェックできることで重複投薬や多剤投与を防ぐことができます。電子処方箋については、未だ義務化とはなっていませんが、オンライン資格確認と同じく義務化されると思います。ただ、導入にあたっては加算がつくことになるのではないかと思います。
病床はさらに減っていく
これまでも続けられてきましたが、適正な病床数に最適化していく動きは今後も継続していきそうです。全国の病院を比較してみると200床前後の病院が変更していることが多いようです。僕が関わっている病院でも病床削減の動きは出てきています。
地域医療構想が進められていきますが、それと並行して近隣の医療機関との役割分担や自院をどういった機能にっていくのか、地域でどのような役割担っていくかを明確にしていかなければいけないのかなと考えています。
今回の記事は以上になります。
最後まで読んでいただきましてありがとうございました。
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